事業型NPO法人 設立するときの注意点や今後の課題とは

近年「NPO」というくくりのなかでも活動が多岐に渡るようになり、それぞれに特徴を持つNPO法人の存在が目立ってきています。

事業型NPO法人もその1つです。収益を得るための事業を前提とするNPOの形で、活発な動きを見せています。
では事業型NPO法人を設立するときに注意するポイントや、法人としての課題はどんなところにあるのでしょうか。

事業型NPO法人とは

事業型NPO法人は事業を行い、その資金をもとに社会の課題を解決していくNPO法人です。
従来も収益事業を行うNPOはありましたが、さらに積極的に事業に取り組むNPOという見方です。
扱う事業がNPO法人の設立目的と関連する分野であり、収益を上げることによって社会貢献にもつながるものとなります。

例えば物品を販売する際の梱包作業を福祉作業所に依頼すれば障害者の就労支援になります。
このNPOのもともとの設立目的が障害者の就労支援であるので、事業をすることで障害者の就労に役立てていけることになります。

事業型NPO法人設立の際に注意するポイント

NPOに限らず最初の運営資金をどうするかが大きな問題です。
最初から事業が軌道に乗っていくとは限りません。運営資金に余裕があることで何とか持ちこたえていけるものです。
事業を継続させるためにも資金が枯渇しないようにするべきです。

また、NPOには活動内容等の報告や公開の義務が伴います。
これらの事務手続きや書類作成には時間がかかり、専門家の手を借りることも考慮するべき点です。

事業型NPO法人の今後の課題

■営利企業との競合
NPO法人が食の安全を掲げて無農薬、有機野菜の販売や宅配を始めたものの、営利企業も健康志向の高まりとともにこうした分野に参入してくることがあります。
活動が長期化してくるとNPOの持つ独自性が失われつつあり、営利企業などと競合するケースが増えてくることが見込まれます。

■ボランティアとの兼ね合い
事業型NPOは事業で成果を出すことが求められ、営利企業と同じように収益を上げなければならないものです。
ときには事業を成功させるために組織に指揮系統が作られ、トップダウン式に動くことで効率性が見出されることがあります。

もともとフラットな組織体質であったNPOにおいて、協力するボランティアがそれを受け入れられるかという懸念があります。
事業に有益な専門性の高い人材を歓迎するばかりでは、広い意味でのボランティアの人材育成と方向がずれていくことも言えるでしょう。

高まる社会的企業支援

高まる社会的企業支援

地域の金融機関はNPOに対して積極的に融資をする動きがあります。
事業計画を明確に持った事業型NPOにとっては歓迎すべきことです。

また行政や大学、NPOなどが主催のセミナーやコンテストが盛んです。
受講すると自治体の融資申請資格などを得ることができるものもあります。
産業の創出を見込む自治体の意図と上手くマッチしていけば、事業も軌道に乗せていけることでしょう。

事業型NPOはNPO法人が継続的に活動をしていくための基盤となるものがあります。
事業で収益を出せれば、本来の活動目的の幅や規模を広げていくこともできるでしょう。
事業型NPOには地域や行政からの期待もあります。
しっかりとした事業計画を作り、収益につなげていけるビジョンを持つことが求められます。

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