NPO法人が自分たちの目的を達成するために、行政などの他団体と協働しなければならないときがあります。
ここでは「協働」とは何かについて解説し、NPO法人が行政と協働する際にとるべき姿勢を紹介します。
協働とは
「協働」とは、同じ目的のために、2つ以上の個人・団体がともに協力して働くことを言います。
協働はあくまで対等な立場での相互協力です。どちらかがどちらかのため、一方的に貢献することではありません。
うまく協働すれば、単体ではできなかったことを実現させることも可能になります。
対等の立場であるということ
協働する上で最も重要なのは、双方が対等の立場であるということです。
実際に、NPO団体が協働という名目のもと行政の下請け的な立ち位置に置かれていることが多くあります。
そうなると本来の事業を遂行することができなくなり、本末転倒です。
しっかりと役割分担を持ち、必要であれば行政に対して意見したり議論をしたりと自分たちの意思表示を示しながら対等に交渉していくことが必要になります。
自分たちの立場、特性などをきちんと意識すること
NPO法人は、常に自分たちの立ち位置を見失ってはいけません。
NPOは公益的な事業をするのが最優先の目的です。
行政に要求された事柄に気を取られて、自分たちの本来目指すべき事業が行えなくなるという事態は避けなければならないのです。
NPO団体が行政の手助けを得るのと同じように、行政もNPO法人の力を必要としています。
総合的な立場にある行政の手が行き届かない専門的な分野において、NPO団体は専門家の立場として自分たちの特性を生かしていく必要があります。
お互いにお互いの役割、立場を理解すること
NPO法人に独自の目的・事業があるのと同様に、行政にも行わなければならない事業があります。
またNPO法人が社会や市民の要望に対し比較的柔軟に対応できるのに対し、行政はそのつど慣習化された手続きを踏まなければなりません。
この文化的な相違が、事業をすすめる際にNPO法人と行政との間にずれを生じさせることがあります。
このようなお互いの団体としての特性の違いを理解し、必要に応じて取り組み方を変更したり反対に変更を求めたりしながら事業を遂行していかなければなりません。
事業の結果などを、市民に広く認知させること
NPO法人は市民や社会の利益増進を目的とした団体です。
行政と協働した場合も同じことで、その協働事業がどのような結果をもたらしたのか市民に知らせる必要があります。
また結果が出るまでにも、その協働事業の「目的」「内容」「経費」などの情報公開をすることが求められます。
こうすることで結果が成功であれ失敗であれ、その事業の目的や考え方が社会の発展を促す市民の共有財産になるのです。
目的を達成するには、NPO法人単体では遂行が難しい事業が数多くあります。
行政と協働すればそのような事業を遂行することは可能ですが、注意しないと望まない結果になる危険性があります。
以上に挙げた事柄を念頭に置き、行政との協働事業を成功させましょう。